会社設立代行サポートサービス 新会社法のポイント
 
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ポイント3  有限会社制度の廃止
新会社法では、株式会社のみになります。今までの有限会社は、そのまま「特例有限会社」として存続します。有限会社としてのメリットを感じている方は、特に変更手続きなどはありません
新会社法の施行により,有限会社という会社類型はなくなり,施行日に現にある有限会社は,株式会社として存続することになります(この会社を「特例有限会社」といいます。)。特例有限会社には、商号中に「有限会社」という文字を含まなければならないなどのいくつかの会社法の特則が定められています。
新会社法の施行後,特例有限会社から通常の株式会社に移行するためには,商号の変更(○○有限会社→○○株式会社)についての定款の変更を株主総会において決議し,株式会社の設立の登記の申請と特例有限会社の解散の登記の申請を行う必要があります。

では、新会社法施行前に設立された有限会社は、どのような方向に進めば良いのでしょうか。
この場合は二つの道を選ぶことが出来ます。

 1.既存の有限会社は「特例有限会社」として存続する

新たに設立することは出来なくても、既にある有限会社は新会社法の施行日以降基本的に手続きを何もしなくても「特例有限会社」として存続することになります。
新会社法施行によって有限会社は廃止され、既存の有限会社は、法律上はすべて株式会社になります。但し、定款変更や解散・設立の登記手続きを行わない限り、株式会社と名乗ることができません。法律上は株式会社になっても、株式会社と名乗ることはできず、特例として有限会社と呼ばれ、実質は従来の有限会社法に基づく有限会社ということになります。

 2.株式会社へ変更する

定款を変更し、商号変更の登記をすることにより、特例有限会社ではなく、法律上も商号も株式会社を名乗ることが出来るようになります。
従来、有限会社が株式会社へ組織変更する際には、資本金が1,000万に満たない有限会社は、増資をした上で組織変更する必要がありましたが、資本金制度が撤廃されたため、増資の必要なく商号変更の手続きをするだけで、株式会社を名乗ることができるようになりました。
有限会社から株式会社に商号変更する手続きの流れ
   
1. 株主総会を開いて、定款変更決議を行い、商号を有限会社から「株式会社○○」(または「○○株式会社」)へ変更する。この株主総会の議事録(後の登記申請の際に必要な添付書類)を作成する。
   
2. 自分の会社を管轄する法務局で、商号変更の登記申請(商号変更前の有限会社の解散登記及び商号変更後の株式会社の設立登記申請)を行います。
商号変更の登記申請を行うにあたって以下の登録免許税が必要となります。
解散の登記:3万円
設立の登記:資本金額の1,000分の1,5(税額が3万円未満のときは3万円)
   
3. 法務局での事務手続きが全て完了し、登記されると商号変更の効力が発生します。これと同時に株式会社を名乗ることができるようになります。
   

では、現時点ではどちらの選択肢が有利といえるのでしょうか?
特例有限会社として“有限会社”のままでいるか、それとも株式会社に移行するのか、有限会社の経営者としては、確かに迷うところでしょう。
それぞれ考えられるメリットをご参考にしてください。


 特例有限会社で存続するメリット

1. 決算広告(決算内容を官報またはネットなどで公開する)の義務がない。
実際に中小零細企業がこのような義務をきちんと果たしているかどうかは疑問ではありますが、今後、広告義務についての規制が厳しくなることも考えられており、あまり決算内容を公告したくない場合にはその義務を免れます。
   
2. 役員の任期を決める義務がない。
今後は株式会社でも、非公開会社であれば役員の任期を10年と定めることができ、簡易化するとはいえますが、有限会社であれば任期を定める必要さえありませんし、役員がまったく変わらなければ、役員変更登記を行う義務も発生しません。
   
3. 商号変更に伴うコストや手間の削減
有限会社から株式会社へ商号変更する場合には、会社案内や看板・名刺などの(有)という字を(株)という字に変更する必要があり、修正のためのコストもかかって来ますが、変更しなければ、そのコストもかかりません。また、その会社が受けている許認可の種類によっては有限会社から株式会社に商号変更することにより、名称変更届などをする必要性がでてきますが、その手間が省けます。

 株式会社に商号変更するメリット

1. 対外的な信頼度がアップ
株式会社に対する信頼を得られる。
   
2. 柔軟な機関設計ができる
特例有限会社では、取締役、株主総会、監査役、代表取締役しか置くことができません。
しかし、株式会社では取締役会を置いて経営者の権限を強化したり、会計参与を置いて計算書類の正確性を外部にアピールする事ができます。
   
3. 会計参与や会計監査人を設置できるので、融資の際に有利
株式会社は、会計参与や会計監査人を置くことができ、これらが設置されている会社の計算書類は信頼性が高いため、銀行などの融資の際会計参与などが作成した書類を添付することにより、融資の話を進めやすくなります。

今後、会社の規模拡大などもまったく考えず、現状のままで経営していければいいという会社であれば、決算公告の義務を負わず、役員の任期を決める必要がないというメリットから考えても手間も費用もかけずに(今ある有限会社は、何の手続きも必要なく会社法施行日以後は自動的に特例有限会社の扱いになっている)現段階では特例有限会社として存続していくのがいいと考えられます。
一方で、有限会社と株式会社の最大の違いである決算公告ということから考えても、特例有限会社にとっては、“手間と費用”という面では有利に働くのですが、将来的に考えると、決算公告をする会社が、当たり前の会社になってしまい、決算公告をしない特例有限会社は、“旧態依然とした会社”とか“(決算を公表しないということは)何か問題のある会社”という印象を持たれる可能性も考えられます。そう考えると、社会的信用性がより高い株式会社へ変更しておいた方がビジネス上も有利であるといえます。
全ての特例有限会社が株式会社に移行すべきとは思いませんが、会社の規模や現状などの実態に合わせて、どうしていくかを考えるのが得策だと考えられます。

 【行政書士中田正幸事務所】
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